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  人間が生きるということ 00000062 2015年06月26日 北村拓郎

人間は、霊長類に属する動物の一種であり、他の動物とは、異なる文化、社会を作っている。動物としては、600万年ほどまえに、チンパンジーとの共通の祖先から、人類として、別れたので、チンパンジーとよく似ている。実際、遺伝子は、ほとんど違わないという。

 チンパンジーは、コトバを話さない。人間は、コトバを話す。コトバで、お互いのコミュニケーション(意思疎通)が、行われ、思考が、深まる。人間文化・文明/慣習すなわち、人間社会は、コトバで成り立っている。
 コトバは、大脳の働きで、話される。しかし、人間にあって、チンパンジーにはない、コトバを話す遺伝子は、ないようだ(発声が容易になる遺伝子などはあるが、コトバは、発声に限らない、たとえば、ハミングや、手話や、ジェスチュァでも成り立つ)。したがって、コトバを話すのは、生まれつきではなく、生まれた後の後天的ななにかである。私は、それは、チンパンジーと人間の赤ちゃんの育て方にあると思う。人間の赤ちゃんは、生まれるとすぐにベッドなどに寝かされ、お母さん(保護者)から離される。一方、チンパンジーの赤ちゃんは、生まれてから、お母さん(保護者)から、離れず24時間お母さんとスキンシップが、保たれる。人間の赤ちゃんは、お母さんから離され、孤独と底知れない不安を覚える。チンパンジーの赤ちゃんは、樹上など移動する母親にしがみつき、何の不安もなく安心しきっている。
 このことが、コトバを覚えるかどうかのキーポイントなる。人間の赤ちゃん(幼児)は、コトバを教えれば、覚えることができる。チンパンジーは、コトバを覚えることができない。その原因は、なにであろうか?それは、チンパンジーと人類が別れて、人類が樹上生活から、直立歩行に移ったとき、期を一にして、赤ちゃんが、お母さんから離されベッドに寝かされたときにさかのぼる。そのとき、世界中にちらばっていた人類の集団は、それぞれの言葉を話していたと思われる。その後、人類は気候変動のもとで絶滅の危機に立ち、かろうじて、20万年前にアフリカの南端に生息したホモサピエンスだけが生き残り、その後、6万年ほど前に、世界中に広まったと推測される。現在の人類のコトバは、多くの種類があるが、もとはといえば、6万年から20万年前の、1種類のコトバが、変化したものであろう。したがって、すべてのコトバは、互いに翻訳可能である。

 コトバを覚えるためには、目の前の事実/状況の背後の事柄について、想像力(概念力といってもよい)が、働かなければならない。人間の赤ちゃんは、お母さんから引き離された、孤独と不安の中で、あれこれの、想像力をはぐくみ、コトバを覚える準備をする。
すなわち、大脳のニューロンネットワークが、想像力を備えるように、初期設定される。
 具体的に、どのように設定されるのかを知ることは、今後の課題である(コンピューターシミュレーションなどが有力な手法であろう)。

 コトバを覚えることにより、人間は人類社会の一員となり、人類文化/文明を享受し、さらに発展させる原動力になる。特筆すべきは、人類文明のおかげで、人間の寿命が伸び、健康状態の改善が著しい。限定的であるが、与えられた自然の制約を変えることもできる。

 人間として生きるとは、コトバを話す動物として、人間社会で生きることである。一方、コトバを覚えることにより、人間は、他の動物のように、目の前の現実をありのままに受け入れるだけでなく、たえず余計な心配と不安を抱えるようになった。つまり、過去のことを振り返り、明日のことを思い煩うのが、人間である。このことによって、人間はだれでも、動物に較べて、多かれ、少なかれ、他の動物にはない、人間固有の神経症になっている。(不幸のみなもと)。

 平成27年6月
 北村 拓郎



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