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  世界観とIT 00000038 2013年11月15日 北村拓郎

 世界観とは、個人あるいは、人間集団が、自身の周りの出来事や事物に対して、意識するか意識しないにしろ、どういう考え方をもっているかということで、人間あるいは、人間集団は、だれでも、独自の世界観をもっている。

 生物学者の中村佳子氏によると、世界観には、密画的世界観と略画的世界観との2種類があるという。密画的世界観とは、いわば、理性的な思考による、論理に基づく、根拠のある、思考法で、科学や、学問その他の、個人や、人間集団が、理解しあえ、共通の世界観を持つことがが可能な領域である。しかし、完全な、共通性を求める思考は、際限がなく、留まることがない。
 たとえば、科学や、学問は、密画的世界観の典型であるが、時代や、個人の知識のなかで、科学や、学問の明らかにすることが、だんだん増えることがあっても、疑問や課題の終わることはない。一方、略画的世界観は、必ずしも、理性や、論理に基づくわけではなく、いわば、感性に基づき、各人、各人間集団の世界観が異なって、共通になるとは、限らない。

 このことを、中村佳子氏は、「象さん、象さん」の童謡を例にとり、説明している(岩波新書 中村佳子著「科学者が人間であること」記載)。

 「ぞうさん、ぞうさん、おはなが、ながいのよ、そうよ、かあさんもながいのよ」。

 中村佳子氏の例では、密画的世界観では、「象の鼻が長い」理由を際限なく求めて、留まることはない。遺伝子や、物質、生命などなど。
 一方、略画的世界観の例では、童謡の通り、それ以上の根拠、説明が不要である。

 いつの時代でも、各人、各集団は、略画的世界観と密画的世界観の入り混じった、一定の独自のバランスの上に、生きている。中村佳子氏は、これを、世界観の重ね書きと呼ぶ。

 ITは、人々の便利なツールとして、これらの世界観を記述し、検索し、わかりやすく表現することはできても、世界観を提唱し、表明することはできない。世界観の提唱と表明は、主体としての人間のみに許された行為である。

平成25年11月
 北村 拓郎

 


 




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